天然屋の快眠塾
多くの人が悩む冬の睡眠
日本の冬は寒い。けれども、夜間に寝室に暖房をかけっぱなしで眠る人は意外に少ないのが実情です。日本の冬は乾燥しているため、暖房をかけてしまうとさらに乾燥が進んでしまい、翌朝起きた時にのどはカラカラ、お肌はカサカサ・・という困ったことになってしまうからでしょうか。かといって加湿器を使用すれば窓が結露し、布団もなんとなく湿っぽくなるので困ってしまいます。そんな訳で皆さん冬の睡眠には苦労されているようで、寝室の温湿度環境が不適切な状態で就寝している人が多いのが、日本の冬の睡眠事情です。冷えを強く感じる人にとっては、電気毛布などの寝具による人工的な加温は入眠時の暖かさや心理的な安心感につながります。しかし、電気毛布で朝まで持続的に加温していくと、睡眠中の体温がうまく下がりません。質の良い睡眠には、睡眠中の体温の低下がポイントとなります。ヒトの深部体温は約24時間の周期変動があり、一般的には午前3時〜4時に最低になります。睡眠時に体温が低下することでエネルギー代謝を抑え、効率的に身体を休息させることができるのです。入眠時に快適さを感じるからといって、その後も体を温め続けると、かえってそのことが睡眠の質低下をもたらすという結果になってしまうということです。
ぐっすり快眠の決め手は寝具にあり!
冬場、人工的に体をあたためることは、睡眠の質を低下させてしまうため、寝具を工夫することが大切です。とはいえ、寝具にはさまざまな素材があるため、どれを選択したらよいか迷ってしまいます。
一般的に、化学繊維の寝具を使用するより、羽毛や獣毛(キャメル・ウールなど)を詰め物にした寝具を使用する方が、体を温めすぎることなく、睡眠中の寝床温度が一晩中快適に保たれると言われています。
睡眠中の体温調整がうまくいくと、スムーズな入眠、熟睡、気持ちのよい目覚めが得られます。
睡眠時に体温が低下することで、エネルギー代謝を抑え、効率的に身体を休息させることができるため、良質な寝具の条件のひとつは睡眠中の深部体温低下を自然に促す環境を作り出すことができるものということになります。
冬は敷き寝具を見直そう!
冬の寝床内の温度は、掛け布団や着衣で調整されることが多く、特に高齢者は若年者に比べて顕著に掛け布団の重ね枚数が増加する傾向があります。掛け寝具を重ねると、重さで圧迫感を感じるうえ、寝返りが阻害されたり、睡眠中の自然な血圧低下を妨げたりする可能性があるので注意が必要です。
重い掛け寝具も同様で、睡眠の質的低下を引き起こしたり、循環器系への悪影響が生じる危険性も指摘されています。このようなことから、掛け寝具だけでなく、敷き寝具の選び方も大切だということが言えます。冬場は、掛け寝具より敷き寝具から温かさが逃げていく傾向があるので、冬場の寝具を選ぶにあたっては敷き寝具の保温力について見直す必要がありそうです。
寝床内を自分の体温で暖め、自然なぬくもりで眠るようにすれば、適正な寝床内温度を保つことができます。そのためには保温性に優れた素材の敷き寝具が不可欠です。
朝スッキリのために必要な温度と湿度
寝具の重要な役割のひとつは睡眠中に変化する温度、湿度、気流などの寝室環境に対応して、寝床内の環境を安定的に保ち、心地よく眠る条件を整えることです。体温を寝床内で保ち、寝汗による寝床内の湿度上昇を防ぐ機能を備えた寝具が理想と言えます。「寝床内気候」は外気と体からの放熱と水分蒸発の影響を受けます。眠ると体温調節の機能が低下するので、睡眠中は適切な機能を備えた掛け寝具と敷き寝具で体を包み、寝床内の気候を眠りやすい条件に保つ必要があるのです。
寝床内は暑すぎても、寒すぎても体への負担が大きく、快適な睡眠が確保できません。眠りに就いてしばらくすると、皮膚の平均表面温度は34〜36℃程度になります。快適且つ良質な睡眠が得やすいのは、寒さを感じず、皮膚の表面から少しづつ温度が逃げている状態で、寝床内の温度が皮膚の平均表面温度より少し低い32〜34℃ぐらいになっているのが理想です。寝床内の湿度は、高すぎると敷き寝具と皮膚接触面のムレが原因となり、寝返りの回数が増えたり、汗ばんで、皮膚からの放熱がうまく進まなくなったりするので注意が必要です。反面、湿度が低すぎると皮膚の乾燥につながります。だいたい45〜55%の湿度が心地よく眠れる状態です。
良質な寝具とは?どうやって寝具を選ぶの?
快適な睡眠を得るために、寝具選びはとても重要です。まず、保温性と吸湿性について。体温を寝床内に溜め込むのは保温性、寝床内の湿度上昇を防ぐのは吸湿性、放湿性、透湿性が主に関係します。吸湿性とは水分を繊維の内部に吸い取る機能、放湿性とは吸い取った水分を繊維の内部から外へ発散する機能、透湿性とは水分が繊維の内部に吸い取られることなく、通り抜ける機能を示します。保温性・吸湿性・放湿性・透湿性に優れた寝具が、「自然な暖かさを保つ」、「ムレにくい」という点で理想と言えます。
それに加えて悪臭がないこと、肌触りが良いことも大切です。嗅覚、感触は眠りに就いてしまうと感受性が低くなるが、就寝前に寝具の悪臭を感じたり、肌触りが悪かったりすると、寝床に対する安心感が損なわれ、寝付きの満足感が低下し入眠を阻害する恐れもあります。
・掛け寝具を選ぶポイント
掛け寝具を選ぶ際には、軽さ、フィット性があげられます。軽い掛け寝具は睡眠中の自然な血圧低下を促し、寝返りをしやすくします。フィット性が高い寝具は寝返りを行った際の掛け寝具のズレを予防します。
・敷き寝具を選ぶポイント
敷き寝具を選ぶポイントとしては、寝床内気候の安定化に加えて寝姿勢を保ち、寝返りが打ちやすいかどうかということが挙げられます。硬すぎず柔らかすぎず、適度な反発力があるのが理想です。硬さの他に、寝返りの際の揺れ、振動、音の発生が無いことも必要です。また、へたると寝姿勢を適正に保持することができなくなるので、へたりに対する耐久性も選定のポイントでしょう。さらに高齢者では、重い敷き寝具では上げ下ろし時の負担が大きく、ぎっくり腰の原因となることがあるのでこの点も注意して選ぶとよいでしょう。